保田先生の「ごはん塾」
レポート12:西宮市立山口小学校薪を割って、お米を研いで、火を起して。小学2年生の子どもたちのワクワクかまど初体験
「いち、にい、さん、しぃ、やったぁー!」。1月21日、うっすらと雪化粧した西宮市立山口小学校の校庭に、朝から子どもたちの元気な声が響きました。今回、小学校で初めて行われたごはん塾は、薪割りやお米を研ぐところから子どもたちに体験してもらう初の試みに。底冷えする寒さや冷たい水もなんのその、元気いっぱいに楽しんでくれました。
寒さなんて全然平気。校庭でにぎやかに雪合戦!   校庭の地面は冷たく凍っていました!
 この日は、夜のうちに降った雪が地面に凍りつくほどの寒さでした。寒いのにはずいぶん慣れたはずの「ゴーゴーかまどでごはん炊き隊」のスタッフも、赤くなった手を何度もこすり合わせながら準備に追われることに。しばらくすると、校庭に子どもたちが集まり、待ってましたとばかりに、雪合戦が始まりました。かまど隊スタッフにも、大きな雪玉が命中! にぎやかなスタートになりました。
「せーの!」。大きな雪玉を作る子どもたち。この後、見事にかまどスタッフに命中! かまどの隣に雪だるまが完成!
外での薪割りやお米を研ぐのも子どもたちの貴重な経験に!   女の子たちも薪割りに挑戦!
 今回、ごはん塾を体験したのは、約80人の小学2年生の子どもたち。かまど隊スタッフがサポートしながら、薪割り体験が始まりました。「せ〜の!」と、勢いよく声を上げる児童もいれば、おそるおそるなたを木でたたき、様子をうかがう児童も。子どもたちの後ろで、保護者の皆さんが温かく見守ってくださいました。
 寒空の下、冷たい水を我慢しながらお米を研ぐのも、みんなで一緒にすると楽しい思い出に。薪に火をつけ、順番に竹筒を吹いて火を起こし始めると、かまどの周りがだんだん温もってきました。「あったかーい!」。冷たくなった手をかざし体を温めた後は、炊き上がりを待つのみです!
軽量カップでお米の量をはかる。冷たい水もへっちゃら!
自分で研いだお米を釜に入れてスタンバイ!かまどに空気を送り込みます。
日本人が昔から親しんできた「一汁三菜」の食事の意味  
講師の奥田和子先生。手作りの教材を使って、ごはんの大切さを説明してくださいました。
奥田先生が用意された、一汁三菜の見本を手にとる保護者の皆さん。
子どもたちは紙芝居を見たり、食育ドリルを解いて、楽しみながらごはんのことを学びました。
 ごはんを炊く間、家庭科室では保護者の皆さんに授業が行われました。今回お話いただいたのは、甲南女子大学名誉教授の奥田和子先生です。授業の最初に、ごはんを主食とした「一汁三菜」の食事のあり方を実際に見て、いろいろ感じとってもらおうと、見本を持ってきてくださいました。
 先生のお話のなかで「そういえば…!」と大きく頷いたのが、淡白でくせのないごはんは、おかずと一緒に食べることで味の調和がとれるということ。また、ごはんを主食とした「一汁三菜」の食事をとることで、主にごはんからはエネルギー源(炭水化物)、おかずからはたんぱく質やビタミン、ミネラルがとれるというお話。バランスよく栄養をとるために工夫された日本人の食事のとり方に、改めて感心しました。
 「食べることは、生きることにつながります」と、授業を締めくくられた奥田先生。食べ物の選び方は、その人の生き方につながり、ひいては民族や国の存亡にもつながるというお話から、身近な食糧であるお米をもっと大切にしましょうというメッセージが伝わってきました。
食育ドリルで勉強中!
  甲南女子大学名誉教授 奥田和子(おくだ・かずこ)先生プロフィール  
奥田和子(おくだ・かずこ)先生
かまど炊き体験の締めくくりはみんなでおいしく試食!   「おいしぃねぇ〜」。奥田先生も子どもたちと一緒にごはんを試食。
 待ちに待った給食の時間。いよいよ、ごはんの試食です。「いただきます!」の挨拶をした後、まっ先にごはんをほお張る子どもたち。薪割りやお米を研ぐところから関わったごはんの味は、やはり特別のようです。ほかほかの炊きたてごはんに、みんな大満足の様子でした。
自分で準備したごはんの味はいかが?


  かまど炊飯やごはん塾の授業を体験した、幼稚園
や小学校の子どもたちの作文をご紹介します!
校長先生のお話

西宮市立山口小学校校長 3年前から『開かれた学校づくり』の一環として、保護者の皆さんや地域の方々に学校を公開する「オープンスクール」を始めています。今回は「ひと 自然 環境」というテーマを総合的に考えるために、兵庫県立「人と自然の博物館」をはじめ、さまざまな方のご協力を得て、バラエティ豊かな催しを企画しました。「ごはん塾」もまさにこのテーマにぴったりで、子どもたちがいろんなことに関心を寄せるきっかけになればと、催しのひとつに組み込ませていただきました。


子どもたちの可能性を
広げる貴重な体験になりました

 子どもたちにとって「楽しい」というのは、今まで知らなかった「新しいこと」に挑戦することなんですね。今の時代、小学2年生が薪割りをするなんて、危ないとか、まだ早いという見方も確かにありますが、「危ないからやっちゃダメ」ばかりだと、子どもの活動を制限してしまうことになる。とくに今回は、ごはんを炊く準備をするなかで、いろんなことを学んでもらえたらという思いがありました。
 薪割りをしたり、お米を研ぐわが子の姿を見て、保護者の皆さんも、日々の成長を感じとれるのではないでしょうか。「まだできないだろう」と思っていた家事のお手伝いも、「これぐらいならできるかな?」と、任せられるようになるのです。新しいことを吸収した子どもたちが、それを自分の生活にどう生かしていくのか、私自身、とても楽しみにしています。

(西宮市立山口小学校校長 渋谷 訓先生)

保護者の皆さんの声
子どもの食事に必要なエネルギーの70%が炭水化物と知って、とても驚きました。わが家の食事は、たぶん理想に達していないので、朝にごはんを食べる回数を増やすなどして工夫したいです。
家族でキャンプに出かけたときに、飯ごう炊さんをしたことはありますが、かまど炊飯は子どもにとって初めての体験でした。自分からすすんで、楽しそうに薪を割っている様子が見られてよかったです。
給食を食べるところなど、授業参観では見られないわが子の学校生活をのぞくことができ、とても有意義でした。校長先生が教室で一緒におむすびを食べているのを見て、子どものことをきちんと考えてくださっているんだなぁと安心しました。
子どもが野菜嫌いで、どうしたら食べてくれるか、いつも頭を悩ましています。奥田先生の授業で、野菜料理は材料を細かく刻むと良いというお話がとても参考になりました。さっそく試してみます!
うちではお米を作っているので、ごはんを食べるのは当たり前で、子どもたちも小さい頃からごはんが大好きです。奥田先生のお話にあった食料自給率の問題や食料難への対策など、正直、今まで意識したことはありませんでした。子どもの将来のためにもきちんと知って、自分に何ができるかを考えたいです。
たくさんのご感想ありがとうございました!